初心者の皆さんよくあるお悩み:「雑音」「なんか変な音がする」の原因の一つが、移弦の動作が正確でないことにあります。ただ単に「次の弦をこする」だけだと、たいてい変な雑音が出ます。
でも、手ごわい移弦動作もコツがわかれば簡単です。そのコツとは、弓を「シーソー」だと思うことです。
弓の重心の位置を意識することが「上手な移弦動作」のキーになりますので、ご自分の弓の重心の位置に印をつけていない方は、ぜひ試しに この機会に印をしてみてください。
さて、ひと口に「移弦の動作」といっても、それには幾つかのパターンがあることにお気づきでしょうか。。。。えっ、そんなの考えたことない!?
では今回は移弦にはどんな場合があるかを考えてみましょう。
移弦のパターンは、移弦しようとする瞬間に「弓の位置(弦と弓の接点がどこにあるか)」「次に上の弦に行くのか下の弦に行くのか」で、おおまかに分類できます。
つまり、
「移弦しようとする瞬間に、弓と弦の接点が、弓の重心の位置から見て・・・」
1. 弓先寄りにある・・例)弓先や弓の真ん中で移弦する
2. 弓元寄りにある・・例)弓元で移弦する
3. だいたい弓の重心のあたり・・例)重心の位置を中心にしてその前後約5cm以内のところで移弦する
そして、上の1.2.3.の場合においてそれぞれ
「移動先の弦は移動元の弦からみて」
A. 上の弦になる・・・例)D線からA線に移弦する
B. 下の弦になる・・・例)D線からG線に移弦する
それぞれの組み合わせを考えると、
1-A 1-B
2-A 2-B
3-A 3-B
とだいたいこの6通りの動きがあることになります。
ここで、この弓の動きを子供たちの遊具の「シーソー」に例えると:
* 子供と大人で乗っているとき・・・1. か 2.(軽い子供と重い大人がシーソーのどちら側にいるかで2パターンに分かれます)
* 同じ体重の人同士で乗っているとき・・3.
* 乗っている2人 A.B. のうちのどちらが次に下がるのか(上がるのか)
この場合も同じように、1.2.3. と A.B. の組み合わせが 6通り考えられますね。
「変な音がする」のが気になっていた方は、移弦の動きに6つもパターンがあるなんて気づいていなかったのではないでしょうか。
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左手の移弦を速くするコツ
移弦の時きれいな音が出ない原因には
1.右手の移弦が遅い
2.左手の移弦が遅い
3.両方の手の移弦のタイミングが揃わない
などが考えられます。
1.については以前に練習方法をご紹介しました。
今回は 2.左手の移弦が遅い と思われるときの練習方法です。
右手の移弦を素早くするには、右利きのテニスプレーヤーの体の使い方と同じように「体幹」を使った「しなり」を利用するんでしたね。
左手の移弦を素早くするには、
右腕を素早く動かすための「体のしなり」 プラス
左利きのテニスプレーヤーの肩の動きのように
背中にある「肩甲骨」からの勢いで左腕を動かす ということが大切です。
初心者の方の左手の移弦をみていると、指だけで移弦していることが多いです。
肘の高さを変えずに指だけで移弦すると、
1.指を最適な角度で弦に置くことができず圧力不足で音が響きません。
2.移弦に時間がかかります。
チェロの習い初めに一度は練習したはずですが、 移弦は腕全体でします。
高い弦から低い弦へ移弦するときは、左足を踏ん張った力が体幹を通って、最後の最後に肘が指先を次の弦に押し出す感じです。
反対に、低い弦から高い弦へ移弦する時は、右足を踏ん張った力が左肩を後ろに引かせることで、肘が下に引っ張られ、それによって指先が高い弦に移弦します。
ボクシングのパンチも背中から腕を出すことが大切なんだそうです。もちろん、ボクサーのように腕を大きく動かすわけではありませんが、いくら小さな動きでも体の真ん中からの勢いで体の先を動かすと、少しの力で素早く動けます。
特にA線からC線、C線からA線 という大きな跳躍の時には有効です。
お試しください。
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前回は「初心者の方たちは「腕だけ」で弾いていることが多いのです」というお話をしました。
テニスで言うところの「手打ち」ならぬ、「手弾き」にならないように ということでしたね。
「手弾き」になると音に響きやパワーが足りなくなります。
こうならないためには、「重心移動と体の回転運動をもっと使いましょう」でしたね。体幹のねじれる勢いでその後の、腕が移弦する動きを引き出します。
前回は具体例として、下の弦から上の弦へ移弦する場合を考えました。
ということで今回はその応用です。
上の弦から下の弦へすばやく移弦してみましょう。
「 上の弦から下の弦への移弦のしかた」
1. 両足でしっかり床を捉えます。
2. 丹田(たんでん=おへその下あたり)に力をこめて上半身を下から支え、そのおかげで上半身がリラックスして肩甲骨が下がり胸が開きます。
3. 左足を蹴るようにして体重を右に移しながら、腰を右に回し始めます。(腕はまだ動きません。元の弦にいます。)
4. すると、腰の動きにつられて胸が右に向き始めます。(左肩はまだ動かず残っているので、胸が開きます)
5. 左肩が体の右側に向かい始めます。(右肘はまだ動きません)
6. 最後の最後。ここまでの、「体幹が右へねじれながら回転しようとする力」が最後に腕に伝わって、溜められていた力が開放されるように一瞬で腕が高い弦から低い弦へ移弦します。
そして、この動きの注意点も前回と同じです。
大切なので、ここにもう一度書きますね。
大切なことは、
弓を持つ手先から移弦の動きを始めるのではなくて、
移弦しようとする力が足から腰に伝わってそれが上半身に伝わって最後の最後に腕が動かされるということです。
床を蹴ったり腰を回したりするのと、腕が移弦するのとが 同時にならないように気をつけてください。体が力んでガチガチに固まってしまうと、腰と腕が同時に動き出してしまいます。
移弦には「体のしなり」を使うということを覚えておいて下さいね。
「しなる」ということはつまり、足から順に上半身、腕、と少しづつ、遅れて動き出します。
そして、この「しなり」を使うことで、「より少ない力で より速く」移弦できるのです。
上に記した「しなる動き」は、初心者のかたにもよくわかるように大げさに、描写しました。
もちろん実際の演奏では「体重移動」や「しなり」はほんのちょっとで、外から見るとほとんどわからない程度のこともあります。でも、外からは見えていなくても、弾いている本人はこの体重移動やしなりを常に感じています。
この動きが少しわかってきたら一度試しに、肩から先=腕+手 を除く、「体(頭から足先まで)」をコンクリート製の銅像のようにゼッタイに動かさないで楽器を弾いてみてください。
下半身と上半身が「しならない」と どんなに弾きにくいかわかると思います。
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今回は 移弦 についてのヒントです。
その1回目として、「すばやく移弦するコツ 」をとりあげましょう。
移弦のある速いパッセージを弾くとき、それも弦を1本または2本またいで移弦する時にモタモタしてしまう。。。なんか弾きにくい。。。
その原因はズバリ、移弦の動作が遅いのです。
この原因は左手にあることも、右手にあることもあるし、両手とも悪いこともあります。あらら。。。
では今回はまず、右手の動きを見直してみましょう。
きっと今までより早く移弦ができるようになりますよ。
テニスを習ったことのある方なら、「手打ちになってはいけません」ということをコーチから指導されたことがあると思います。体幹が使えておらず腕だけでボールを打っている状態、これはダメですよ、ということです。
これは、チェロでも全く同じです。 初心者の方たちは「腕だけ」で弾いていることが多いのです。「手打ち」ならぬ、「手弾き」ですね。
「手弾き」になっていると:
音に芯がなく、
音にパワーがなく、
音に響きがなく、
そのうえ、弓を扱う動作が遅くなります。
では、「手弾き」にならないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。
これも、テニスと同じです。野球とも同じです。
重心移動と体の回転運動を使います。
体幹のねじれる勢いがその後、腕が移弦する動きを引き出します。
具体的に例をあげましょう。
例えば、下の弦から上の弦へ移弦する場合は:
1. 両足でしっかり床を捉えます。
2. 丹田(たんでん=おへその下あたり)に力をこめて上半身を下から支え、そのおかげで上半身がリラックスして肩甲骨が下がり胸が開きます。
3. 右足を蹴るようにして体重を左に移しながら、腰を左に回し始めます。(腕はまだ動きません。元の弦にいます。)
4. すると、腰の動きにつられて胸が左に向き始めます。(肩・腕はまだ動かず残っているので、胸が開きます)
5. 右肩が左側に向かい始めます。(肘はまだ動きません)
6. 最後の最後。ここまでの、「体幹が左へねじれながら回転しようとする力」が最後に腕に伝わって、腕が低い弦から高い弦へ移弦します。
ここで大切なことは、弓を持つ手先から移弦の動きを始めるのではなくて、
チカラが足から腰に伝わってそれが上半身に伝わって最後に腕が動くということです。
くれぐれも床を蹴ったり腰を回したりするのと、腕が移弦するのとが 同時にならないように気をつけてください。体が力んでガチガチに固まってしまうと、腰と腕が同時に動き出してしまいます。これでは体幹を使っているとは言えません。
移弦には「体のしなり」を使うということを覚えておいて下さいね。
「しなる」ということはつまり、足から順に上半身、腕、と少しづつ、遅れて動き出します。
そして、この「しなり」を使うことで、「より少ない力で より速く」移弦できるのです。
この「しなり」を体験していただくために、私の教室では最初のレッスンで「象さんの鼻ぶらぶら」を練習をします。立って腰を前に曲げ、片腕を象さんの鼻のようにブラブラさせ、肩から振り子のように左右にゆっくり振ります。そのとき腕をどうやって揺らすかというと、腕自身「が」左右に動こうとするのではなく、足・腰・胸を大きく左右に揺れることで、その先にぶら下がっている腕が「勝手に」揺れるようにします。
これで、足、腰、胸、肩、腕 が「大きく波打つように連動して動く感覚」を体に覚えさせます。
体を使うという点で、アスリートから学べることはたくさんあります。
もし、スポーツ番組などでテクニックの解説をしていたら、そのテクニックがあなたのチェロの演奏に応用できないかと思いながら見てみてください。
びっくりするぐらい、チェロ演奏のテクニックとスポーツのテクニックは共通点がありますよ。
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