チェロ以外のほかの楽器のレッスンもぜひ聴いてみたいですね。特にヴァイオリンやヴィオラ、コントラバスなど弓を持って演奏する弦楽器なら、右手の使い方や左手の使い方、体の使い方など、基本は同じです。「これをチェロならどうするかな」と自分の頭の中でチェロ語に翻訳しながら聴いてみましょう。
でも、「違う楽器のレッスンに行ってもどこをどう聴けばいいのかさっぱりわかりません」という方もいらっしゃると思います。そんな方のために、「チェロ以外の弦楽器の公開レッスンを聴くコツ」みたいなものをいくつかご紹介します。
1. 楽器演奏の初心者の方は、まずはとにかくたくさん良いものを見て聴いてみましょう。
いままで弦楽器の演奏をあまり聴いていなかった方にとっては、ハイレベルな演奏をする生徒の演奏は「どれも同じように素敵!」としか思えないと思います。でも、それでOKです。まだ小学生なのに大人の音楽を聴かせてくれる生徒さんたちの演奏をたくさん聴いて、他の弦楽器の魅力を楽しんできてください。
2. 弦楽器の演奏をたくさん聴いたり見たりしてくると自然と、自分の中に「好み」ができてくると思います。歌わせ方の好みだったり、音質の好みだったり、曲の好みだったり、衣装の好みやお辞儀の仕方、舞台への出入りの時の歩き方の好みもあるでしょう。演奏の中にそういう自分の好みを見つけてみましょう。演奏者の中に「これ、いいなぁ」をたくさん見つけてみましょう。
「こういうのが好き」ができてくると反対に「う~ん、これは。。」というのも出てくるかも。自分の中にそれができてきたら、あなたの目と耳がステップアップした証拠です。
さて、ここまでなら「素敵な演奏を聴いて幸せな気分に浸るいつもの演奏会」と同じですね。
せっかく「公開レッスン」を聴くチャンスがあるなら、今度はちょっと背伸びしてみましょう。
3. 弦楽器初心者の方の場合、「いくら聴いてもやっぱり、どの演奏も同じぐらい素敵で違いがわかりません」かも。でもご心配なく。「何が良いのか」、どこをどう聴けば、どこをどう見れば「良いと良くないの違い」がわかるのか、を教えてくれるのが「公開レッスンでの先生のアドバイス」なんです。
では実際の公開レッスンとはどんなレッスンなんでしょうか。
公開レッスンでは先生と生徒の間では次のようなやり取りがされます。
① 「そこはもっとこういう風に弓先で」というアドバイスを先生が生徒にするとします。
例えそれがヴァイオリンのレッスンであっても、そういう時にそうした方が良いのは、チェロでもたいてい同じですから、ここからが見どころ聴きどころです。
② 先生が実際にお手本をやって見せてくださることもあるでしょう。
③ そうしてそのアドバイスを受けて、生徒がそこを今度は「もっと弓の先の方で」弾き直してみます。
④ するとあ~ら不思議、その適切な弓の位置で弾いたとたんに、同じ音を弾いているのにさっきより音楽がもっと優しくなったり、もっとイキイキしたり、もっと軽くなったり。全く別物の音楽が自分の楽器から出てきました。
⑤ こうして生徒は「良いものとは何か」や「良いと良くないの違い」に気づくことができます。「もう一つ上の音楽表現」というものを自分の引き出しに加えることができるようになり、そのためのテクニックも知ることになるのです。
4. そうやって、レッスンしてもらっている生徒も聴講しているあなたも、「さっきまでの弾き方で十分ここの音楽を表現できていたと思っていたけど、ほんとだわ、私のさっきのやり方だと足りないわ。こういう個所はこういうふうに弓を使うともっといい感じになるんだなぁ。」と知るわけです。
そして、もし今後これと同じような場面に出くわしたときに応用できるようになるんですね。
先ほど例に挙げた弓使いは右手ですが、「左手の使い方」や「体の使い方」でも同じようにチェロに応用できます。
次回も引き続き、弦楽器のレッスンの聴講をするときのコツをお話しします。
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