寒くなってきましたね。皆さん元気にチェロを楽しんでおられることと思いますが、練習の前後にウオームアップやクールダウンをしていらっしゃいますか。
この季節、練習室は寒~く、
ケースから取り出した楽器は冷た~く、
自分の手も冷た~く、
おまけに、毎日練習のできない「週末チェリスト」だと、手を広げたり、肩回りを動かすのも久しぶりです。 そのうえ、やっと練習時間を確保したと思ったら, 近隣騒音防止の取り決めのため後30分しか音が出せない!!なんてことも。焦りますよね。
初心者の皆さんよくあるお悩み:「雑音」「なんか変な音がする」の原因の一つが、移弦の動作が正確でないことにあります。ただ単に「次の弦をこする」だけだと、たいてい変な雑音が出ます。
でも、手ごわい移弦動作もコツがわかれば簡単です。そのコツとは、弓を「シーソー」だと思うことです。
前回、「普段から弓の重心の位置を意識して練習するといいです」というお話をしました。>>こちら
今回はその弓の重心の位置を意識した練習方法をひとつご紹介します。
さて皆さん、さぁこれから音符を弾こうと弓を弦の上に乗せるとき、弓のどこを弦に付けていますか。えっ、そんなの考えたことない?
新年、皆さん元気にスタートされておられることと思います。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
初心者の皆さんから「きれいに弾くためにどうしたらいいか」という質問をよくいただきます。
きれいに弾くといってもそのためのテクニックはいろいろありますが、まずは弓の重心の位置に注目してみましょう。
今回は弓の重心の位置に気をつけることの大切さのお話です。
普段はちゃんと床に刺さっているエンドピンが演奏中に何かのはずみで滑ってしまうことがありませんか。
・ なぜか演奏中に、それも大切な本番で滑ってしまった。。。
・ 重音で左指にチカラが必要なところなのに楽器が滑ってしまって失敗した。。。
・ 「ここぞ」というところで大きな音を出そうとして弓に圧力をかけたとたんにズルっと滑ってしまった。。。
・ エンドピンの先はしっかり尖らせてあるし、エンドピンストッパーも普段なら滑らないので、エンドピンストッパーのせいではなさそう。。。
と、この「なぜかエンドピンが突然滑る」原因がわからず困っておられる初心者の方からお尋ねがありました。
今回はこの原因になりそうなことを2つ取り上げようと思います。
前回は、「ハードケースに楽器を入れたら、立てずに寝かしておきましょう」というお話をしました。こちら>>
今回は、「楽器を入れたケースから楽器がこぼれ落ちた」という怖~いお話です。
もうウン十年前になりますが、ある合奏団の海外演奏旅行にエキストラとして参加した時のことです。
先日、大阪北部を地震が襲いました。被災されました方々にお見舞い申し上げます。
私の住む和歌山にも近い将来大地震がくると予想されています。来てはほしくないけれど、来てしまったときに自分のかわいいチェロを守れるように、楽器の入ったケースの置き方には日ごろから気をつけてくださいね。
写真のように、ハードケースに入ったチェロって、そのままでも絵になってカッコイイですよね。
それに、立ててあると大きなケースもかさばりません。
そこでつい、楽器をケースに入れた後、立てて部屋の隅に保管したくなりますが、これには要注意です!!
「左手の練習をすると肩が凝る」場合、音程を作るために、
指のチカラで弦を指板に押しつけようとしたり、
肘を強く折り曲げることで指を弦に押しつけようとしたりしていることが多いです。
もともと握力があまりないと、なおいっそう指や肘に頼ってしまいがちです。
そうすると、肩に力が入って、肩が凝ります。
では、どうしたら肩が凝らないように、弦をおさえられるのでしょうか。
それは:斜め懸垂をするときと同じ要領で弦を押さえることです。この方法なら、弦をしっかり押さえることができ、握力や腕力の強さに関係なく、誰でもきれいにチェロを響かせることができます。
弦を押さえるのってなかなか難しいですね。特に、もともと指や腕のチカラが足りない方の場合、「これは大変」と慌てて、親指まで総動員して指板を握ってしまいがちです。
その次に間違いやすいのが、肘を曲げるチカラで弦を指板に押しつけようとすることです。
すると、今度は肘が痛くなってきたり、演奏後に肘が曲がったまま固まったようになって、肘が伸びにくくなってきたりします。また、ヴィブラートをかけ続けると肘に痛みが出るようになったりもします。
演奏しているときに肩にチカラが入ったまま弾いていると、肩の動きが制限され、肩が痛くなったり、弓をまっすぐ動かすのが難しくなります。
そこでレッスンでは、「肩を下げ、肩甲骨を寄せてください」とよく注意されると思います。
ですが、初心者の方の中に、演奏しているときに肩甲骨を寄せる感覚をつかむのが難しいかたがあるようです。
例えば:
①「肩を上げないように肩甲骨を寄せて」といわれたとき、胸にチカラを込めて体が反り返り、肩がガチガチになってしまう。
チェロを始めてすぐの超初心者の方たちからよく聞こえてくる声があります。:
・左肘を高く上げ続けなければいけないので、チェロを弾くと肩が痛いです。腕のチカラがないからでしょうか。
・弦を押さえる練習を始めて以来、肩が凝ってます。指のチカラがないからでしょうか。
・チェロを弾くと肩が痛いのは、五十肩の名残でしょうか。
これらの理由は、左の腕や肩が弱いからではありませんし、もちろん昔やった五十肩のせいでもありません。(笑)
この寒い季節、楽器のケースを開けたら弦がベロンベロンに緩んでしまっているという悲劇がなぜ起こるのでしょうかというのが今日のお話です。
で、最初に結論から言うと、「楽器ケースの中の空気が乾燥したために楽器に使われている「木材」も乾燥して痩せ、ペグとペグ穴との摩擦が減り、その結果ペグが緩むから」です。
ペグにはぜったい手を触れたくないという初心者の方には酷なお話ですが、アジャスターだけでなくペグも使って調弦ができるようになれば、弦はもう緩まなくなります。
練習しようとケースを開けてみたら、「わぁっ、弦がベロンベロンに緩んでる!!」ということありませんか。
寒いこの季節、初心者の方の楽器にこの悲劇が起こることがあります。ペグを触るのがまだ怖い初心者の方たちにとっては大ピンチですね。
今回は「楽器ケースを開けて弦が4本とも緩んでしまっていたときの対処法」です。(1本だけ緩んでいたり、切れている時はその弦だけを元の状態に戻せばOKです。他の弦までわざわざ緩めてしまう必要はありません。)
一番やってはいけないことは、駒を倒してしまうことです。弦が4本とも緩んでしまったからといって駒をチェロの本体から外して楽器ケースのポケットなどに片付けてはいけません。
1. 弦がどんなに緩んでいても、弦は4本とも駒の溝の上に乗せたままにしておきます。この時の音程(弦の張り具合)はユルユルでかまいません。
2. 元の音程に自分では戻せないならそれでもいいので、少しだけペグを巻き上げてユルユルの弦を「少しだけ張った状態」にします。(ここでは強く張る必要はありません。)そうして駒を「立てた状態」にしておいてください。駒の脚が表板にぴたっとついているように、指板の方向に倒さないように気をつけます。
3. まだペグを回すことができない初心者のかたは、ここから先はご自分では無理です。
ペグを回せる、チューニングができる人のところに持って行って弦を張り直してもらいましょう。
駒を倒したり楽器から取り外してはいけない理由:
魂柱が倒れてしまうからです。
楽器のF孔から中を覗いてみると、直径が1センチほどの丸い棒が表板と裏板の間に突っ張るように立っているのが見えます。これを魂柱(こんちゅう)といいます。この棒は表板の振動を裏板にまで伝えるための部品です。接着剤で固定してあるのではなく、表板と裏板の間に挟まっているだけです。
弦を張ると駒が大きなチカラで表板を押しつけます。その結果、表板と裏板の間の距離が狭まるので間にある棒が倒れずに立っていることができるのです。
駒を倒してしまったり取り外してしまうと、表板が裏板の方向に押しつけられなくなってしまいます。それでこの魂柱が倒れてしまうのです。一度倒れてしまった魂柱をもう一度同じ位置に立てるのには特殊な道具が必要で、楽器修理の職人さんにやってもらうしかありません。
というわけで、大切な魂柱を倒さないためには駒を立てて、最低限の圧力ででも表板を押しておく必要があるわけです。
次回は、チェロの弦が(悲しくも)ケースの中で緩んでしまう理由についてお話しします。
前回、練習の後はストレッチをして使ったところを積極的に休めましょうというお話をしました。
でも、練習中や練習後になんとなく違和感が残ったり、異常な痛みが出てきてしまっているときは要注意です。
練習直後にアイシングをしても違和感が取れなかったり常に練習中にも異常な痛みがでるほど状態が悪いときは、そのまま練習を続けるのは危険です。医療機関を受診してください。骨や筋などに異常がないかをまず調べてもらいましょう。
お勧めは整形外科などにいる「スポーツドクター」です。
スポーツドクターなら「痛いけれどチェロは続けていきたい」というあなたの気持ちを受け止めて、どうすれば痛みと向き合いながら演奏し続けることができるかいろいろアドバイスをくれるはずです。もちろん今しばらくは安静にしてください、チェロを弾いてはいけませんということもあるかもしれませんが、痛みが減ってきて練習を再開した後のストレッチやマッサージ、アイシングやテーピングの方法なども教えてくれます。
骨などには問題がない時は「知識と経験が豊富なスポーツトレーナー」も頼りになります。
実は私はお二人のトレーナーにとってもお世話になりました。専門競技は違うもののお二人ともオリンピックメダリストのトレーナーです。「チェロ奏法のことは全くわからないけれども。。」とおっしゃりながらも快くアドバイスを下さりました。アスリートなら誰でも知っている当たり前のことだとは思いますが、音楽関係の人からはもらったことのないアドバイスでした。アスリートの方たちとのやりとりのなかでスポーツと楽器演奏の体の使い方がいかに似ているかに気づかされました。そして、教えていただいたことをチェロ奏法に置き換えて試すうちに長年の肘の痛みと肩凝りから開放されました。
異常な痛みが続くときは精神的にとても辛いときですね。もうチェロを止めようかと思ってしまうかもしれません。そういうときは焦らないでまずは治療に専念してください。でも考えようによってはちょっと立ち止まるチャンスです。この辛い何もできないときこそ、自分のこれまでの演奏方法に無理がなかったかもう一度見直すチャンスです。
リハビリで必要な筋肉がついてきたり、正しい体の使い方ができるようになったら必ずまた楽しく弾けるようになります。チェロ弾きの体の使い方はアスリートと同じですから。必ず良くなります。
ああ、今日はゆっくり練習できてよかったなぁ。久しぶりだったけど、前やってたことは意外と忘れてなかったし、いい感じだわ。。おっと、そのあと、練習した後、「楽器をきれいにしてケースに収めてハイおしまい」になっていませんか。
練習が久しぶりだった時は特に、指や腕や肩などの筋肉や筋に疲れが出ています。これをそのままにしておくと後から炎症がひろがってきたり、痛みが出てきてしまったりします。
練習前のウオーミングアップとセットで練習後には必ずクーリングダウンも行ってくださいね。
年も明けてこれからが寒さの本番です。冷え切った手でチェロの練習を始めていませんか。一度筋を痛めてしまうと治るまでに何ヶ月もかかってしまうこともあります。
どんなスポーツでも練習を始める前に充分にストレッチをして体を温めますね。チェロの練習でも同じです。手の指も肘も肩も背中も腰も、全部しっかりストレッチしてから練習することをこの冬からの習慣にしましょう。
「大丈夫ですよ~。チェロを弾いた後はちゃんと拭いてます」
いえいえ、私が心配しているのは。。。
お家のどこかに片付けてある、長い間ケースに入れっぱなしの、蓋をしたままの楽器です。若い頃に弾いていたギターとか、むかし子供が弾いていたピアノとか。もう誰も弾いていないヴァイオリンをお持ちの方もあるかもしれません。
その楽器たち、この夏の暑さの中、無事に元気にしてますか?
「いま弾いた音が前に飛んでいくのが見えますか」って、そんなの見えませんよね、本当は。でも、それをイメージしてみてください。
あなたのチェロの音がBGMになる 座禅・瞑想・イメージトレーニング です。目の前の楽譜を弾くことだけに気をとられて、ガチガチに固まってしまった心と体が開放されて、あなたのチェロの音が 必ず変わります。
大切な弦を、ブチッと切ってしまうあの瞬間!つらいです。
「ちょっと戻してから回すんですよね。そうしてます。弦もねじれないように気をつけて張りました。でも、ペグは止まらないし、回すと弦が切れるんです。」
という悲しいご質問が数人から寄せられました。
今回は「それでも弦が切れてしまう」へのさらなる対策です。
みなさんはチェロの先生から「背筋を伸ばしてください。腹筋と背筋が大切です。体幹をしっかり使ってください」と、よく注意されていることと思います。
チェロを弾く動作はスポーツで体を使っているのと強度の差はあれ、同じ原理です。
でも、普段から体幹トレーニングをしている方は別として、すでに腰痛、肩こりのあるかたは「体幹」といわれても急にはできないですよね。
そんな方にでも「背筋が伸びた、体幹を使った座り」を体験していただけるのが次の方法です。
新緑の季節になりました。汗をかいても木陰に入るとすぅっと乾きますね。
チェロの生まれ故郷のヨーロッパの夏がちょうどこんな感じです。こんな爽やかな気候が秋まで続きます。いいですねぇ。
空気が乾燥しているので「私、最近チェロの腕前があがった?」 と思うぐらい、毎日楽器がよく鳴って気持ちいいですね。
でも、これからの季節、ちょっと困るのがチェロを持っての移動です。
前回、張った弦が切れやすい原因のひとつとして、
弦がねじれた状態、撚(よ)りがかかった状態になったまま張ってしまうと「ペグで巻き上げたときに弦が切れる 」原因になります。
ということをお伝えしましたところ、( こちら>>)
どのようにすれば弦がねじれないように、撚(よ)れないように張れるのですか というご質問がありました。
前回に引続き、ペグをまわすコツの第2回目です。
大切な弦を切ってしまわないように、ペグを上手に動かしましょう。
止まっているペグは、そのまま巻き上げないで、「少し戻してから」上げるんでしたね。
慣れないうちは
1. 音程を半音上げるのに2秒ぐらいかけるつもりで ペグはゆっくりまわしてください。
「チューニングのときペグを回すと弦がすぐに切れてしまいます。 もう、ペグを回すのが怖いです。」
そうですよね。ビギナーにとってはペグを使った調弦は大仕事ですね。
弦が切れる原因はいろいろ考えられます。
楽器屋さんに持っていって、ペグを調整してもらうことで切れなくなることもありますが、今日は今すぐ試せる方法をご紹介します。
「ペグが固くて回りません」「ペグがすべって止まりません」
というお悩みも「ビギナーあるある」ですね。
ペグの調整もちゃんと楽器屋さんでしてもらっているはずなのに 回らない。。。 止まらない。。。
チューニングができる人にやってもらう時には何の問題も無くちゃんと動くのに、自分で回そうとすると回らない。止まらない。。。
握力も腕力もあるかたなら、どんな回しにくいペグでも ぐいっと回してしまいますが、そうでない方の場合はちょっとした工夫で回しやすくなりますから、お試しください。
「アジャスターが固くて回りません」というお困りごともよくあるようです。
これにはいくつか原因が考えられます。よくある3つが次のようなものです。
1. アジャスターがもうすでにいっぱいまでねじ込まれていて、もうこれ以上ねじ込めない。
「アジャスターってどっちに回せば音が高くなるんですか」は、初めてアジャスターをさわる方から必ずといっていいほど尋ねられる質問です。
これはアジャスターを何度もグリグリ回しているうちに自然とわかってくるのですが、アジャスターの仕組みがわかっていたら初めての方でも迷うことがないので、今日はこれを取り上げようと思います。