前回は、「チェロを弾く練習を始めたばかりの方にまず目指していただきたい音は、柔らかな優しい音ではなくて、すっきり立ち上がるくっきりした音です」というお話をしました。こちら>>
今回はそのくっきりとした音のイメージを目で見ていただこうと思います。冒頭の絵はそれぞれよくある、2種類の音のイメージです。ひとつづつ解説していきますね。
まずこちらは、よく初心者のかたがおっしゃる「きれいな音」。
そうですよね。せっかくチェロを弾くんですから「きれいな音で」弾きたいですね。
でも残念ながらこれは、初めての音作りとしては悪い例です。初心者の方はまず、弓に圧力を上手にかける練習をしなければなりません。まずはスキっと立ち上がった、しっかり「音のアタマ」のある音を作っていただきたいのです。
ところが、多くの初心者の皆さんがお好きなこちらの音は、どこに音の頭があるかよくわからない音です。しばらく弓が動いているうちにやっと音の芯が鳴ってきます。このタイプの音を「後ろが膨れる音」と表現する時もあります。
もちろん「もっと上手になったら」このようなどこからともなく聴こえてくる「霧の中の光」みたいな柔らかくて淡い色も必要になってきますが、最初の音作りとしては今はまだガマンです。
そこで、初心者の皆さんにまず目指していただきたい音のイメージが次の絵です。
さて皆さん、小学校でリコーダーを習った時のことを思い出してみてください。そのとき「タンギング」を言う言葉を聞いたことがあったかもしれません。(う~ん、もうウン十年も前のこと、とっくに忘れましたね。。)
「タンギング」とは、リコーダーのような「吹いて音を出す楽器」の演奏テクニックの一つです。
リコーダーに息を入れて音を出すときに、吹き口をくわえてただそのまま「ふ~ふ~」と、まるでロウソクの火を吹き消すように息を入れると、確かに音はでますが「森でフクロウが鳴いてるみたい」な「ぼやっとした音」が出ます。そこで今度は「ふ~ふ~」ではなく、「とぅ~とぅ~」と実際に口で言いながら、楽器に入っていく息を一瞬舌で止めるようにしながら吹くと「くっきりした音」が出ます。これが「タンギング」というテクニックです。
チェロでもこれと一緒。管楽器のタンギングを使った「スッキリくっきりした音」と同じ音質の音をチェロでも一番初めに習うんですね。これができるようになると、前回ご紹介した、「ヴィヴァルディの四季のチェロパート」もまた「淡い優しい音」も自在に弾くことができるようになります。
次回は、実際にどうやればこんな音を出すことができるのかを考えてみましょう。
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