演奏しているときに肩にチカラが入ったまま弾いていると、肩の動きが制限され、肩が痛くなったり、弓をまっすぐ動かすのが難しくなります。
そこでレッスンでは、「肩を下げ、肩甲骨を寄せてください」とよく注意されると思います。
ですが、初心者の方の中に、演奏しているときに肩甲骨を寄せる感覚をつかむのが難しいかたがあるようです。
例えば:
①「肩を上げないように肩甲骨を寄せて」といわれたとき、胸にチカラを込めて体が反り返り、肩がガチガチになってしまう。
②「両手を後ろで組んで肩を後ろに引いてください」といわれたとき、組んだ手を後ろで引っ張るときに手が体から離れ、顎(あご)を突き出して肩が上がってしまう。
う~ん、私もそうだわと思ったあなた、試しに次のような練習をしてみてください。
「肩甲骨が自然に寄って下がっていく」を感じる練習 その1
1. 立った姿勢で、エプロンのひもを後ろ手で結ぶように両手を後ろで組みます。
2. 顎(あご)のチカラを抜き口を半開きにします。
3. 首や胸周りも柔らかくしておきます。
4. 組んだ手を伸ばしていきながら、体に沿わせるようにおしりの下の方向に下げていきます。
このとき、「肩甲骨を寄せる」とか「肩を後ろに引っ張る」とか「胸を開く」を意識しすぎると首にチカラが入ったり、顎(あご)が前に突き出るようになったりして、肩が上がってしまいます。
体表面のチカラを抜いたことで、自分の皮膚が自らビロ~ンと伸びていく感じです。チカラづくで引っ張ってはいけません。
「肩甲骨が自然に寄って下がっていく」を感じる練習 その2
肩甲骨が寄ったり下がったりするためには、その反対側、胸元、首元が広がって上がっていかなければなりません。
これは例えば、肘を曲げるときに肘の内側の筋肉や皮膚が縮むことができるのは、肘の外側の筋肉や皮膚が同時に伸びてくれるからこそなのと同じです。
そこで、胸元をチカラを入れずに開く練習をしてみましょう。
① 両方の手の指先で自分の左右の鎖骨の下側を触れます。
② 肩、胸、のど元、口のチカラを抜き、口を半開きにします。(歯を食いしばっていてはチェロは弾けません。奥の上下の臼歯を離してください)
③ 「今自分が着ているTシャツの襟が前に垂れ下がってきているのを元に戻す」つもり で
鎖骨を上・後方へ軽~いチカラで押し上げてください。
④ 次にこの動作を、「歌舞伎の女形が、着ている着物の襟を抜いているつもり」でやってみましょう。
⑤ すると、「鎖骨が後ろに引き上がる」と同時に上半身が自然に上のほうへ伸びていき、前に出ていた顎(あご)が自然な位置に戻ってきませんか。
注意:この時、鎖骨は後ろに「引き上がる」のであって「引き上げる」ではないことに気をつけてください。
こうすれば、無理やりチカラを入れなくても自然に肩甲骨が寄り、胸が開き、肩が動きやすくなります。(そして何より、姿美人になれます!)
⑥ コツがわかったら今度は、腕を後ろで組むなどの動作に頼らず、肩甲骨を自然に寄せて下げてみてください。そうすると、意識せずとも丹田に軽くチカラが入り、上半身がすぅっと上に伸びて体幹が使えているのがわかりますね。
⑦ 普段の姿勢が猫背気味のかた(はい、私もです)は、チェロを弾いていないときにもこの姿勢を練習しておきたいですね。
お試しください。
バックナンバー: 写真と題名と日付で探す>> 題名と日付で探す>> 関連記事から探す>> この記事の一番下にある「カテゴリ:」からも関連記事が探せます。
次へ>>2018/04/12 長く弾いていると左肘が痛くなり、曲げた肘がそのまま固ってしまいます。
前へ>>2018/03/29 左肘を上げていると肩が痛くなります。
このブログは毎週木曜日に更新しています。
遠方の方にはパソコンのWeb電話を使ったご相談もお受けしています。ご自分の先生とのレッスンで迷ったときなどに、セカンドオピニオンとしてのご質問もどうぞ。こちらからお気軽にお問い合わせください。>>