前回は弓先をまっすぐに動かすイメージトレーニングをしました。
今回は全弓をダウン弓でまっすぐに動かすイメージトレーニングをしてみましょう。
注意:まだ弓先を使えるだけの指や腕の力がない初心者のかたは、無理に全弓の練習をしないでください。変なクセがついてしまったり、無理をして指や肘や肩を痛めることがあります。ここでは、奏者がすでに弓先でも音が出せるようになっていることを前提にしています。
「ダウン弓で全弓で弾く」と一口に言ってもそれは、弾き方の異なる3つの区間を連続したものです。
第1区間は「弓元」
続く第2区間は脇を振り子のように開け閉めする「弓の真ん中あたり」
最後の第3区間は「弓先」です。
さて、前回でもお話ししたように、
一連の動作を連結して一つの流れにしていく練習方法は:
「動作の時系列の後ろから前に少しづつ増やす」です。
では、実際に練習してみましょう。
私たちは今、「全弓をダウン弓でまっすぐに」弾く練習をしたいので、練習する順番は:
1. 最終の第3区間「弓先」だけ
2. 第2区間「弓の真ん中あたり」だけ
3. 第2区間「弓の真ん中あたり」と最終の第3区間「弓先」を続ける
4. 最初の第1区間「弓元」だけ
5. 最初の第1区間「弓元」を「弓の真ん中あたり~弓先まで通した区間」の前に続ける。
という順番です。
これを逆に
1. 「弓元だけのダウン弓」
2. 「弓元から真ん中あたりまでのダウン弓」
3. 「全弓でダウン弓」
の順でやると後に行けば行くほど「まだ慣れていないさらに難しい動き」が追加されることになるので、体も頭もずっと緊張が続くことになってしまいます。
でも、時系列の逆順で「まだ慣れていない動き」を増やしていくと
一番先に一番緊張する難しい動きが来て、そのあとは後ろに行けば行くほど「もう知っている自分にとって簡単な動き」が続くことになり、頭も体もずっと楽です。
では応用です。
「全弓をアップ弓で」まっすぐに弾く練習は どうすれば良いでしょう。
順番は:
1. 弓元をアップ弓で
2. 弓の中ほどから弓元までアップ弓で通す
3. 弓先から弓元までアップ弓で通す です。
難しい音程を取る練習とか、あっちこっちに素早く移動し続けるポジションの練習とか、楽譜に書いてある音の順番で何度やってもできない難しい動作ってありますよね。
楽譜に書いてある順番で前から音を出してみて「わ~、ムリ~」と思うような難しい箇所は、いつもの練習方法を100回やっても、たいていできるようになりません。
そんな時はぜひ、今日の「後ろから練習する」を試してみてください。
うまくいけば5回くらいでクリアーできます。(たぶん。。)
他のスポーツの練習方法も参考になります。面白そうなのがあったら、チェロの練習用にアレンジして何でも取り入れてください。
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