「大丈夫ですよ~。チェロを弾いた後はちゃんと拭いてます」
いえいえ、私が心配しているのは。。。
お家のどこかに片付けてある、長い間ケースに入れっぱなしの、蓋をしたままの楽器です。若い頃に弾いていたギターとか、むかし子供が弾いていたピアノとか。もう誰も弾いていないヴァイオリンをお持ちの方もあるかもしれません。
その楽器たち、この夏の暑さの中、無事に元気にしてますか?
楽器は気温が高いのも苦手ですが、日本のこの湿度も大敵です。「そう言われてみれば、もう長い間楽器の顔を見ていないわ」という方、今日は一度、ケースの中の楽器の様子をみてあげてください。
楽器の保管に失敗すると:
1. 暑さで接着面のニカワがはがれます。
2. 湿っけた密閉されたところにずっと入れられていると、カビが生えてきます。
3. 楽器の材木部分や、フェルト部分などの、柔らかくておいしいところを虫が食べます。
普段使っていない楽器もこの季節だけは、あなたや家族が過ごす空調の効いた部屋へ移して、ケースから出して新鮮な乾いた空気に当てておくと安心です。常に除湿ができている保管場所に入れとくことができたら最高です。そして久しぶりに健康チェックを兼ねてその楽器を弾いてあげてくださいね。
そして、ただ保管しているだけの楽器の心配をしながらこのように毎年、日本のこの過酷な夏を過ごすなら、思い切って楽器を手放すことを考えてもいいかもしれません。
大切な楽器で手放せないということもあるかもしれませんが、大切な楽器だからこそきれいな健康な状態を保ってあげたいものです。誰か次にその楽器を演奏してくれる人が見つかったら、楽器もまた活躍の場を得て幸せです。
私もこの春、父の形見のフルートをフルートの専門店のムラマツに引き取ってもらいました。
私の結婚式で、父がフルートを吹き私がチェロを弾いて、弦楽器の友達に伴奏をしてもらって、バッハの管弦楽組曲第2番のポロネーズを一緒に演奏した思い出の楽器でした。
亡くなった後しばらくはケースに入ったフルートを見て元気だった頃の父を思い出していましたが、だんだんケースを開けるたびに「無事かなぁ」という心配のほうが大きくなってきていました。
今頃はきれいにオーバーホールされて、誰かにまた吹いてもらって、いい音で鳴っていると思います。
亡くなった父も喜んでくれていると思います。
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