新緑の季節になりました。汗をかいても木陰に入るとすぅっと乾きますね。
チェロの生まれ故郷のヨーロッパの夏がちょうどこんな感じです。こんな爽やかな気候が秋まで続きます。いいですねぇ。
空気が乾燥しているので「私、最近チェロの腕前があがった?」 と思うぐらい、毎日楽器がよく鳴って気持ちいいですね。
でも、これからの季節、ちょっと困るのがチェロを持っての移動です。
1. 楽器を積んだまま、屋外の駐車場に車を止めて、「ちょっとお買い物」なんてしないでくださいね。車内はあっという間に高温になります。
2. また、車で移動中も楽器ケースに日光が当たってきていないか気をつけてくださいね。
3. 運転しながらも目の届くところに楽器ケースを置いておくのがベストです。
4. 駐車しているときにフロントガラスを覆っておく「銀色の日よけ」を、移動中は楽器ケースに掛けておくと安心です。
最近の車の窓ガラスは性能も上がって、熱も遮断してくれるようですが、それでも窓際は高温になることもあるからです。
楽器が高温になると、楽器の組み立てに使われている「ニカワ」が溶けて、接着してあるところが剥がれてしまいます。
剥がれがひどいと、弾いたときにそこが変に振動して、「ビービー」と鳴ったりします。
こうなると、楽器工房で貼りなおしてもらわなければなりません。
さてここで、私の苦い経験談をひとつ。
大学生のころ、祭日に学校でチェロの個人レッスンがあったので、ハードケースに入った楽器を積んで学校まで車で向かいました。そして、途中で大渋滞に巻き込まれてしまいました。
祭日なので大学の事務所は閉まっています。その当時はまだ携帯電話も何も無い時代、レッスンに間に合わないことを先生に連絡しようにもできず、ただただ完全に止まってしまった車列の中、気持ちだけが走っていました。
私の車にはエアコンがついてなかったのですが、夏ではなかったので窓を開けて外の風を入れてたら爽やかで快適でした。
2時間ぐらい渋滞にはまった後、ようやく学校についたら、先生はどこかに行ってしまわれていてもちろんレッスンはしていただけず、そしてなんと楽器ケースをあけたら、楽器のニカワが剥がれて貼り付けてあるところに隙間が開いてしまっていました。
渋滞にはまっていた間じゅう約2時間もの間、開いた窓からの直射日光が楽器ケースに直接当たってしまっていたのでした。
夏ではなかったので、影になっていた運転席の私は暑さを感じず、後部座席でひとり「火あぶりの刑」にあっている楽器のことなどすっかり忘れていたのでした。
エアコンをつけずとも、窓を開けて自然の風を入れながら快適に走れるこの季節、私と同じ失敗をしないでくださいね。
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