前回に引続き、アジャスターをどっちにまわすといいかわからない時のお助けワザです。
ところで、アンサンブルの一員としてチューニングしている時、他のみんなはさっさとチューニングが終わってしまっているのに、自分だけ全員の注目を浴びながらまだひとりチューニングしているのって焦りますよね。本番の舞台の上ならなおさらです。
焦るとよけいに音程がわかりにくくなるので、落ち着いてくださいね。
チューニングが苦手な人は、みんなと同時にチューニングを始めるとどうしても取り残されますので、その日の練習のピッチが先に分かっていたら、みんながチューニングを始める前に、ひとりで先にチューニングを終わらせておきましょう。
さて、今日の本題。
アジャスターをどっちにまわすといいかわからない時のお助けワザですね。
前回はD線の押さえているところを上げていったらA線ときれいに合った場合でした。こちら>>
今回は
1. D線を左の1の指で押さえながらずらしていってD線の音程を上げていってもA線と合ってこない時です。あるいは、
2. 合ってこないような気がする時、さらに濁ってくる時
3. 合っているのか合っていないのかよくわからない時 ですね。
合わないからと、D線をさらに上げ続けているとまたA線と合ってくるところがあるのですが、その時には左指で作った音程は「E(ミ)」にまで上がっていってしまっています。
「押してもだめなら引いてみな」式でD線を今度は「下げる」という手も考えられますが、アジャスターをやみくもにグリグリ上げたり下げたりするのは結構時間もかかるし、何より自信を持ってチューニングしたいですよね。そこで、
1. D線の開放弦の音程を上げていってもA線の開放弦と合ってこないときは:
チューナーで合わせてある「A線」のほうを、D線でやったのと同じように、1の指で押さえながら少しずつ上へずらして開放弦のA線の音程を上げていってみましょう。
これでA線とD線がきれいに合ってきたら、
「さっきは5度の幅が狭すぎた」
=「D線を下げるよい」
ということです。
今回の場合、A線はもうチューナーで正しく合わせていたのですから、もちろんA線の音程をアジャスターで触ってはいけませんね。
それから、もう一つの場合:
2. 「D線の音程を上げていっても」「A線の音程を上げていっても」よけいにだんだん濁ってくるときは すでに、A線とD線のチューニングが合っていたのです。
弦楽器の音色にまだ耳が慣れていない初心者の方にとって、「合っている=濁りの無い5度」と
「合っていない=濁った5度」の響きの違いを瞬時に聴き分けるのは難しいと思います。それはいままでの人生でそんなちょっとした音程の違いを意識する必要がなかったから、理由はそれだけです。
例えばピアノの5度(例えば「ド」と「ソ」の音程の距離)は弦楽器のチューニングとは少し違い、正確に言うと「濁った5度」です。でもピアノで弾くとそんなに不自然ではありません。人間の耳ってけっこういい加減なものなんですね。
弦楽器の5度の響きは、初めは何がどう違うのかわかりにくいかもしれませんが、美術品を見る目を養うように、何度も注意深くその違いを聴いていれば、どこに気をつけて聴けばいいのかを体が覚えてくれます。
まだ弦楽器の音程のちょっとした違いに耳が慣れていない方はぜひこちらの方法で聴く練習をしてみてください。>>「微妙な音程の違いを聞き分ける練習はこれ」
それから
3. チューニングの「合ってる」「合っていない」がどうしても聞き分けられないかたの場合、その理由はほとんどの場合右手にあります。つまり、
まだ右手のチューニング用のボーイングが(特に圧力のかかり具合が)不安定で、開放弦の音を同じ音質で長くきれいに出し続けることができないのです。こんな時は出てくる音がつぶれたり、かすれたりしているので、プロの耳を持ってしても音程を聞き分けることができません。
「たとえ左手が難しくても、きれいなボウイングでチューニング用の音を出し続けましょう。」
ビギナーにとってチューニングは難関ですね。
ペグは固いし、へたすると弦は切れるし、一本緩むと他の弦までビロンビロンに緩むし。。
汗も涙も出てきますよね。
でも、みんな何だかんだ言いながら、汗と涙ののち、いつの間にかできるようになってくるものです。
ビギナーがチューニングで苦戦しているのは、本人は辛いでしょうが周りのみんなは心の中で応援してます。あきらめずにがんばってください。
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